15分ストーリー

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 比較的大きなビジネス街を男が歩いていた。男の年齢は50歳前後といったところだろうか。男はスーツ姿でどこかへ行く途中、といった様子。時間は12:00ということもあり、通行人は結構いた。

『あの、ちょっとすみません』
後ろから女性に呼び止められたので男は振り向いて
『私でしょうか?』 と言った。

『はい。ちょっとお聞きしたいのですが…』と申し訳なさそうにはにかむ女性に言われ、男はしばらく何も言わず待った。

そして首をかしげながら言った。

『ちょっとお聞きしたいのですが・・・の続きは何でしょう?省略されては困ります。対応する時間はありますか?なのか。それとも今聞いてもいいですか?なのか。それともやっぱり結構です、なのか。はっきり言ってくれなければ対応の仕様がありません。ちなみに今聞いても構いませんし、時間もあります。知っている事ならお答えしますが、知らない事には何の情報を与える事も出来ません。それでもよければさあどうぞ、お聞きなさい。』

ややこしい事を言う男に女性は頭にきてしまった。黙ったまま怒りの形相で睨みつけたまま、その場を素通りして行こうとした。 この行動に男は腹を立てたのか、さらにまくし立てる。

『あなたちょっとお待ちなさい。人を呼び止めておいて黙って素通りとは一体どうゆう教育を受けて育ったのでしょうか。あなたの様な非常識な人間の気が知れません。そんな事なら初めから人を呼び止めるなどという行為はもう二度としない事です。一応忠告までにお伝えしておきます。それではさようなら』

背を向ける男の後ろ姿を見ながら女性は真っ赤な顔をしながらわめき散らした。まあ普通の人間ならこんな態度をとられたら怒るのは当たり前だ。しかし男が言っている事も筋違いではないので余計に始末が悪い。

 歯切れの悪い人というのは、周りの人間に不快感を与える事がある。話し相手にしっかりと言葉を伝えなければならない。しかしこの男のソレはやり過ぎだ。文章の流れで分かるであろう事までいちいちツッコミを入れるのだから、話しかけた人間はたまったのものではない。

しばらく男が歩いていると、今度はティッシュ配りに出会った。ティッシュ配りの人間が男に向かってティッシュを差し出し『どうぞ』と言う。すると男はしばらく立ち止まったまま。そして差し出されたティッシュをじーっと眺める。ティッシュ配りが言う。
『な、なんですか』
『え。どうぞと言われたましたが、お受け取り下さい、なのか。それともご覧下さい、なのか。分からなかったのでとりあえず眺めてみたのですが、何か問題ありますか?』
『・・・普通はお受け取り下さい、の意味だと思いますが』

『普通?何をもって「普通」なのでしょう。私にしてみれば文末を省略されて呼びかけられ、ティッシュを受け取ったは良いが、泥棒扱いされてはたまったものではありません。ですからまず無難な方を、つまり眺めるという行為に出たという訳です。何か問題でもありますか?』
『いえ・・・ではよろしければこのティッシュを無料配布しておりますのでお受け取り下さい』
『荷物になり邪魔になります。つまりよろしくないので要りません。それではさようなら』
一礼をし、さっさとその場を立ち去る男を呆然と眺めるティッシュ配り。あいつ友達絶対いないな・・・とつぶやきながらティッシュを配り始めた。

『まったくけしからん世の中だ。日本語の美しさ、そして繊細さを一体なんだと思っておるのか。いちいち注意していたらキリがないが、世のため人のためだ。嫌われるだろうが仕方ないのだ。省略して素晴らしい事など日本語にはありえないのだ。こうなったら注意して回るしかないのか。まったく…ぶつぶつ』

その時前から歩いてきた女子中校生二人組が肩にぶつかった。
『あ、おじさんごめん~。イライラしてて会話に夢中になっちゃってた』
『うむ、馴れ馴れしい言葉だが、よろしい。しかしイライラはよくない。どうしたというのかね?』
 
『それがさぁ、まったくJKの連中がさぁ、まじKYなわけよ~。うちらJCにしたらAKYなんだけど。あんなのと会話するの3Mなんだけど。CKだしさ。しかも偉そうに言ってる割にはDKだべ?ほんとまじKZ。で、ITするかぁって話してたところだったんだぁ。ん、どうしたのおじさん顔真っ赤だよ?』


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未来の星



ここは地球連邦宇宙局。地球の宇宙工学も目覚ましく発展し、宇宙時代の幕開けだった。ここの局員のベータ氏は局長からお呼びがかかり、今その局長の部屋へ向かっていた。インターホンを押して名乗ると自動ドアが開いた。

『やあよく来てくれた。今日呼んだのは実は頼み事なのだ』

と局長がベータ氏に言った。わたしに頼み事とは何だろうと不思議に思った。ベータ氏は体力だけが自慢のパイロット。頭が良いわけでも判断力が特別ある訳でもないわたしに局長直々の頼み事とは一体・・・

『実はな、わが宇宙局は遥か彼方に、地球の大気の成分率と全く同じ星を発見したのだ。つまりどういう事かと言うと、移民用の星として完璧な星なのだ。しかも調べたところまだ誕生して5億年、生物がいたとしても恐らく原始段階だ。我々地球の科学力を持ってすれば簡単に植民地、いや、植民星に出来るのだ。しかし、そのデータ全てが遠く離れた地球から調べたものなので、本当はどうなのか行ってみないと分からない。そこで君に先遣隊として行ってほしい、という訳なのだ。』

なるほど・・・しかしそれならばなおのこと、もっと優秀なパイロットに頼むべきなのでは?と疑問をぶつけたところ、とんでもない答が返ってきた。

『うむ・・・それがな、片道100年かかってしまう程遠い星なのだ。聞くところによると君は身寄りもなく、将来を約束している人もいないらしい。つまりこのプロジェクトにうってつけの人物なのだ』

いくら体力自慢のわたしでも100年は生きられません。と訴えた。

『コールドスリープを使うのだ。その星に到着する日にタイマーセットしておくので、目覚めたら着陸して二つの任務を遂行してもらいたい。一つ目の任務は、その星を調べ上げ、その全てのデータを地球へ転送してほしいのだ。本当に100年後の子孫達がその星へ向かってよいのかどうかを判断する材料にするのだ。そして二つ目の任務は、その星に永住してほしいのだ。これで仮に宇宙人が他にいたとしても、我々が先住人だと知らしめる事が出来る。もし住めない星だとしても心配はいらない。宇宙船の中で住めばいい。酸素、食料共に半永久的に生産し続ける装置を搭載してある宇宙船なのだ。しかも退屈しない様に世界中から集めた映画のVTRもある。まだあるぞ、ゲーム対戦型ロボットも搭載しておく。あと話し相手ロボットや・・・』

延々とロボットの話しを聞きながらベータ氏は考え込んでいたが局長が続けて言った。

『しかしな、成功させると君は地球の宇宙史上最も有名な男になれるのだ。英雄だ。ガガーリンなど問題ではない程の英雄だぞ。』

それを聞いたベータ氏は思った。わたしは今まで脚光を浴びた事がない。このまま地球にいてもろくな人生じゃない様な気がするぞ。どうせなら歴史に名を残す方がいいに決まっている。ベータ氏は決断した。

『かしこまりました。是非やらせて下さい』

『よく言ってくれた。よし、では早速搭乗準備にかかろう』

身支度をしロケット搭乗口まで来ると、もうすでに局長以下、ずらりとお偉方が並んでいた。そうそうたる面々だ。

『それでは詳細を話そう。ロケットの中に入ると広いロビーの端にコールドスリープの装置がある。そこへ入りフタをすると自動的にコールドスリープ状態になる。あとは100年間のタイマーが切れるまで寝るだけだ。ここまでは理解出来たか?』

『はい、かしこまりました』

『よし、それから起きたらすぐモニターのスイッチを入れてくれ。そうするとオートで目的の星のアップ映像が映し出されるはずだ。あとは宇宙船が勝手に着陸してくれる。あとは君が任務を遂行するだけ。どうだ、大丈夫か?』

『はい、マニュアルもありますし、大丈夫でしょう。それでは行ってきます』

かくして、将来の地球のために二度と帰る事のない宇宙旅行へと旅立つベータ氏。気の遠くなる様な遠路だ。いや、気が遠くなるどころか眠ったままの旅だ。宇宙に出てからもしばらく地球を眺めていた。もう二度と帰れない我が故郷。昔、片道の燃料だけを積んで飛び立った戦闘機のパイロットはきっとこんな気分だったのだろう。
いつまでも感傷に浸っていられない。大事な任務があるのだ。コールドスリープ装置に入り、そのフタを閉めそのまま眠りについた。


…どれくらい眠ったのだろうか、たった10分程しか寝ていない気もするがそうではない。100年経ってコールドスリープのタイマーが切れ、ベータ氏は目覚めた。装置から這い出てまずモニターのスイッチを入れる。モニターには目的の星が大きく映し出されていた。宇宙座標も確認したが間違いなく目的地へ到着したのだ。ベータ氏は喜びの声を上げ、両手を上げこぶしを握り締めたが妙な違和感を感じた。目的の星の様子が聞いていたのとは全く違っていたのだ。

『なんだこの星は…確か原始生物しか住まない誕生したての星だったはずでは…』

その星のあちこちからレーザービームが発せられ、地表では色とりどりの光が輝いている。そして星の周りにたくさんの宇宙船が飛んでいるのが見える。よく見るとスクーター型の宇宙船にまたがって猛スピードでその目的の星目掛けて飛んで行く人間の姿すらあった。明らかに高文明の星だ。
すると突然、無線の呼び出し音が宇宙船内に鳴り響いた。

『前の宇宙船、止まりなさい。明らかに宇宙航路法の規定航路から外れています。命令に従わないと攻撃します。ただちに停船しなさい』

モニターを後方へ切り替えると、赤い回転灯をつけた白黒のパトロール船が猛スピードでこちらに迫ってきた。一見して警察と分かる様相の宇宙船だ。ベータ氏は混乱した頭を押さえながら、宇宙船を緊急停止させた。すると横付けしたパトロール船から隊員がこちらに乗り込んできた。

『なんという古い宇宙船だ。博物館でしかお目にかかれないぞこんなの。お前は第何惑星の誰だ?免許証を提示しなさい。おや、あなたの胸のワッペンは大昔の地球連邦宇宙局のマーク。もしやあなたは地球人か?』

ベータ氏はこれまでの経緯を全て話した。するとパトロール隊員が言った。

『聞いた事があるぞ・・・・確か100年前にコールドスリープを利用してこの星を目指した若い局員の話。しかしその10年後、地球ではワープ航法出来る宇宙船を開発したのです。そのおかげでいまやこの星もリゾート地、憩いの場となった。スクーター型宇宙船で買い物に来る主婦ですらいるくらいだ。残念ながらもうここはすでに地球の支配下にあるのです』

なんてことだ。せっかく遠路はるばる命がけで来たというのに。ベータ氏は再び100年の眠りにつきそうな程目眩がした。絶望のどん底にいるベータ氏を見かねたパトロール隊員が元気付けようとして言った。

『さあパトロール船に乗って下さい。未来の科学力をお見せしますよ。我々の故郷、地球に帰りましょう。なあに、地球まで5分もかかりませんよ…』



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地震警報



とある地震研究所。

静かな森の中にあるのでとても周りは静かであり、鳥のさえずりを楽しむにはもってこいの場所でもある。ところどころにある木陰や、木漏れ日がとても素敵な癒しの空間だった。
自然公園でも作れば人がたくさん来そうな場所。

そこに騒々しい車の音が近づいてきた。

一人のスーツ姿の男が慌しく駐車場に車を止め、研究所内に走り込んできた。そしてアルファ博士と書かれたネームプレートの扉をノックした。


『失礼します!』
大慌てで扉を開け、部屋のデスクにいるアルファ博士に向かって大声で言った。

『博士えええ!本当に出来たのですか?!実物を見せて下さい!』

ノックしてからこの間、たったの3秒。いくらなんでも慌てすぎのこのスーツ姿の男は、気象庁のある部に所属している男だった。あまりの事に博士は虚を突かれたので、両肩がピクっとなり驚いた顔を見せたが落ち着いて言った。

『うむ、出来たぞ。しかし君、なんて言い草だ。私が嘘をつくとでも思っているのかね。それと慌てすぎだ。もうちょっと落ち着きというものを・・・』

『これが落ち着いていられますか!世紀の大発明ですよ博士!』

気象庁からの依頼を受け昼夜を問わず必死で研究し続けた結果、ついに完成させた。
そしてさっきこの気象庁の男に完成を知らせる電話をしたばっかりだった。

依頼内容というのが、地震を事前に察知するマシーンの作成依頼。

現在、地震が起きてから地震波をキャッチし、それを国民などに知らせるシステムならあるのだが、地震を前日に100%の確率で予知する機械やシステムは無い。
あと、地震が起こる直前に「地電流」という電気が流れるのだが、これだと逃げる暇が無い。

つまり、余裕をもって警報を出す、これが現実のものとなると世界的にも大発明となるのだ。宇宙工学分野から大きく遅れをとった日本は、この開発に大量の資金を投入していたのだ。

そして今日ここに完成した、という訳だ。


『博士博士、どこにその機械が?見せて下さいよ』

『どうも君は急かし過ぎだ。しかしまあ、気持ちが分からんでもない。実はもう、君の目の前にあるのだ。想像と違い過ぎて分からんのだろうがな。ほら、デスクにあるこの小さな機械がそうだ』

『なんと・・・こんな小さな機械なのですか』

『これは受信機だ。アンテナの様なものを地下に設置し、地震予知波をキャッチするのだ。地震が発生する時に地下にあるプレートからある種の電波が出る事を発見したのだ。それをキャッチしてからきっかり24時間で地震が起こる。地震の大きさもマグニチュードなども全て分かるので、まあ完成したと言ってよいのではないか?』

『いや、完璧ですよ博士!ありがとうございます!早速実用化へ向け、実験を繰り返し国民全員に、いや世界中の人々の為の警報システムを作りたいと思います。いやぁさすが博士ですね!』

『うむ、まあ困った事があればまた連絡くれたまえ。それとアンテナ100個、用意しているのでまた取りに来たまえ。追加があれば作っておくから』

受信機とアンテナをアタッシュケースに入れ、大慌てで気象庁へと戻った気象庁の男。早速上司に報告し残りの100個のアンテナも厳重な警護の下、気象庁へトラックで運ばれた。

後日、実験にとりかかった。まずは地震が多く起こりそうな断層近くの地下にアンテナを配置。
受信機を気象庁のパソコンに連動させ、これで地震予知波を感知すれば24時間後に地震が起こるはず。日本では震度1程度のものならしょっちゅう起こっているので、すぐに実験は終わるはずだ。

あれから一週間、実験を繰り返しついにあと一歩というところまでシステム化に成功した気象庁の男。
『この機械は素晴らしいな。実験は成功。これで確実に24時間以内に地震をキャッチする事が可能となった。あとは各テレビ局、情報機関、電話会社などと連動し、システム化すれば地震予知システムの完成だ』

手始めにまず日本国内での整備がなされた。地震予知波を感知したらその情報は全ての情報機関に流れるシステムを作った。ニュース速報、インターネット情報掲示板、携帯電話のメール配信など完璧なシステム化も急ピッチで進んだ。

かくしてシステム化と相成った。

これにて「地震予測」は「地震予知警報」に変わった。ついにここまでの科学力を持つ人類に酔いしれる気象庁の男。これで地震による災害、被害者を最大限未然に防ぐ事が出来るのだ。
気象庁の男でなくともこれは嬉しいことだ。

そして、このシステムを完成させた事を報道が放っておくはずがない。各テレビ局の報道番組でこの地震予知システムが紹介され、大反響を呼んだ。あちこちの国々でシステムの導入を検討したいので、と講演会などの仕事が殺到した。
そして世界中の注目を浴びる事となった。

そしてついに数日後。

地震予知装置の受信機が警報音を鳴らした。なんとある地方都市で震度7の大地震が24時間後にやってくるとのことだった。すぐに全てのシステムに情報が流れ、その地方都市の住人達は大慌てで地震の被害の無い場所へと避難を始めた。なにせ24時間後に100%大地震が来るのだから当たり前だ。


文明の利器で人の命が救われた。こんな嬉しい事はないぞ。と大喜びの気象庁の男。


そしてその地方都市から住人の半分以上が姿を消した。
街を離れていない者達も、避難所にみんな避難していたので街には静けさが漂っている。

しかし静けさもつかの間。
当然、避難者と入れ替わるかの様に、空き巣や盗賊達がぞくぞくと街へ・・・

せっかくの発明もこれでは意味が無い。


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